特集 血清学的検査—その本質と実際
免疫血液学的検査
血液型不適合妊娠の検査のすすめ方
松本 秀雄
1
1阪医大・法医学
pp.1047-1051
発行日 1969年12月1日
Published Date 1969/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906597
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はじめに
最近著者の知り合いの眼科の先生から"私の従弟が結婚について,本人はA型,嫁の候補はO型ですが,血液型の不適合によっていろいろの不具者が生まれるとかいうので心配しています.どうしたものでしょうか"というお尋ねがあった.これはもちろん血液型に対する一般の関心,知識が最近とみにたかまっていることを示すものであろう.また一面,いろいろの新聞などジャーナリズムがその恐ろしさを強調するあまり,ABO式血液型の不適合がその"実力"以上の評価を受けているともいえよう.啓蒙のいきすぎがもたらした悲劇も時おりきかれるのである.
また著者が滞米中,血液型不適合の問題に興味をもっていることを知つているスタインバーグ教授が,たくさんの家族的資料についての血液型検査の成績を示しながら,"Rh(-D)の妻とRh(+D)の夫との間に10人もの健康な子供が生まれているよ.ほらここにもある."といたずらっぽくよく笑ったものである.このことはRh式血液型の不適合があっても,必ずしも抗体は産生されていないし,溶血性疾患をひき起こすとは限らないことを示している.
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