私のくふう
結核菌耐性検査間接法における比濁定量用混濁液について
鈴木 武雄
1
1国立横須賀病院研究検査科
pp.748
発行日 1969年9月15日
Published Date 1969/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906515
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結核菌薬剤耐性検査問接法は,菌を培地に接種するに先だち,被検菌の均等浮遊液を作らねばならない.それは正確に1mg/mlの菌液を作るため菌を秤量する.これは危険だしめんどうでもある.そこで,硫酸バリウム液により比濁法で,それと同程度の濁度を有する菌液を作ったほうが危険を伴わず便利である.硫酸バリウム液は沈降速度が大きいため,比濁のたびごとに十分に振って均等にしけなればならない.多数の検体を短時間で消化するにはめんどうである.また,溶液のBacl2−2H2OとH2SO4との反応条件を厳密にしなければならない.
私は,ポリスチレンラテックス微粒子の混濁液を考案し,現在実施しその効果をあげている.ポリスチレンラテックスは,スチレンモノマー,乳化剤,重合開始剤,触媒により合成し,さらにその粒子をシード重合により約0.2μの粒子径のラテックスを,50%メタノール水溶液で200倍に稀釈し,660mμの波長で水を対照としてその吸光度を測定し,あらかじめ測定しておいた硫酸バリウム液の吸光度と,ほとんど同一になるように50%メタノール水溶液で補正して,硫酸バリウム0.1mg/ml,0.15 mg/ml,0,2mg/mlに対応する濁度標準液を作成した.このラテックス混濁液は表に示すとおりで,一度振っておけば数カ月以上静置しても懸濁粒子は沈降しない.硫酸バリウム混濁液とラテックス混濁液は全く性質は違うが,肉眼的外見には差異は認められない.
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