研究
血清総コレステリン定量に関する一考察
白土 大平
1
,
松下 正一
1
SHIRATSUCHI DAIHEI
1
,
MATSUSHITA SHOICHI
1
1天神クリニック臨床検査室
pp.603-605
発行日 1963年8月15日
Published Date 1963/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906148
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まえがき
血清総コレステリン定量は各種疾患の臨床検査に広く利用され,定量方法についても今日まで次々と新しい方法が発表されている。このことはコレステリン定量の簡便,かつ精密な方法が要求されているためである
標準法ともいうべきLiberman-Burchard反応は操作が複雑であり,かつ安定性を欠き,短時間で多数の検体を処理する日常の臨床検査には多くの困難がある。これに対し,Kiliani反応によるZak-Henly変法は操作が簡単で再現性も良く,Sperry-Webb法とも良好な一致を示すと報告されている1)。しかしながら簡便とはいえ,複雑な化学反応であるから,不純試薬等により正確さが失われることも充分考えられる。医学書院の「同一試料による臨床化学検査データ」の発表においても総コレステリン値は86mg/dlより545.5mg/dlと非常に開きを生じ,他の検査項目と比較にならぬばらつきが報告されている2)。黒田はコレステリン標準試薬4種について検量曲線を作成した結果,それぞれ異なった呈色を示し第一化学製品が一番呈色が悪く,次にメルク(福岡),和光,メルク(久留米)の順に呈色,メルク製品といえどもTest No.が異なると同一検量曲線が得られず,標準試薬について再検討を報告している3)。また北村も使用試薬により定量値に誤差を生ずると発表している4)。このことより,標準試薬および使用試薬が定量値に影響を及ぼしていることは充分考えられる。
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