研究
Kiliani反応による遊離型コレステロール直接定量法の検討
宮谷 勝明
1
,
福井 巌
1
1京府医大臨床検査部
pp.295-298
発行日 1970年3月15日
Published Date 1970/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906738
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はじめに
総コレステロール中のエステル比の臨床生化学的検査の診断的価値は,次第に薄らいできていると老えられていた.それは測定法の技術的な問題と,他により容易に行なえる同じ目的の検査が普遍化してきたことであろう.しかし,最近,Glomset1)によるLecithin Cholesterol Acyltransferaseの報告や,また,Norumら2)によるこれら酵素の欠損により,Cholesterol esterの著しく減少を示す症例の報告などによって,再びエステル比測定の重要性が増加してきた.
エステル型を測定するには,遊離型コレステロールをDigitoninで沈殿させ,それを集めて洗ったのち測定し,総コレステロールより引いて求めるので,Digitoninによる沈殿,洗浄純化,その回収という操作の過程で誤差が生じやすく,技術的に困難な測定法の1つといわれている3,4).このような理由から,和光純薬で開発された遊離型コレステロール直接定量法は,測定法の欠点である操作上の繁雑さを改良し,精度の向上を行なったものと考えられる.われわれはこの改良試薬による測定法について検討を行なったので,その結果について報告する.
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