検査法紹介
Immunocrit法によるβ-リポ・タンパクの簡易・迅速定量法
斉藤 正行
1
,
鈴木 敬吾
1
,
八木 聡子
1
,
古屋 清一
1
1東大分院臨床化学
pp.419-422
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905981
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血清脂質と動脈硬化症との間になんらかの関係があることは,多くの人々により指摘されている事実である。もちろん血清脂質の異常は動脈硬化症のみに特異的なものではなく,他の多くの原因によっても惹起され,高血清脂質で動脈硬化症でない人,また逆に正常・低血清脂質で本症に罹患している人も少なくない。しかし日常診療において血清脂質の高いグループよりの動脈硬化症の罹患率は,正常または低血清脂質グループに比し数段高いといわれている。ここに血清脂質測定が成人病の王者である本症の早期発見に切実に要求されるゆえんがある。
さて血清脂質はどういう状態で存在するかというに,ほとんどタンパクと結合したリポ・タンパクの形であり,電気泳動法によるα-およびβ-タンパクに主に結合している。この脂質分画のうち動脈硬化症においてはα-分画は減少し,β分画が増加し,特にこの分画中のコレステロールが増加するといわれている。従って血中総脂質の測定よりもβ-リポ・タンパクまたはβ-コレステロールの測定が能率的であることがわかる。
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