技術解説
RPCF検査法
水岡 慶二
1
1東京大学医学部皮膚科教室
pp.393-396
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905978
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はじめに
近年,梅毒患者の減少とともに,梅毒としての臨床症状を有する患者がほとんどみられなくなってきたので,梅毒の診断はもっぱら血清反応によっておこなわれるようになってきた。それだけに梅毒血清反応が果す臨床上の役割は一層大きくなってきており,従って特異度,鋭敏度共にすぐれた梅毒血清反応の出現が望まれるわけである。
PangbornによってCardiolipinが分離精製され,それが抗原として使用されるようになってから,梅毒血清反応は鋭敏度ならびに特異度の点で長足の進歩を遂げた。このPangbornによるCardiolipinの分離精製の成功は,梅毒血清反応の発展に一時代を画した成果であり,特に一定の力価をもった抗原液が簡単に処方しうるようになったことの意義はきわめて大きい。しかし,このすばらしい成果をみせたCardiolipin抗原も,梅毒の病原体であるTreponema pallidum (TP)からとりだされたものでなく,またTPに対する真の抗体をとらえていないという欠点を指摘されるに至って,特異度の点で疑問をもたれるようになった。すなわちCardiolipin抗原による梅毒血清反応では梅毒に罹患していないのに陽性にでることがしばしばある。
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