技術解説
アルカリ性および酸性ボスファターゼの組織化学的検出法の実際
高橋 登
1
1東京医科歯科大学附属病院中央検査室病理
pp.385-390
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905977
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I.はしがき
広い意味でホスファターゼは,リン酸塩のエステルを加水分解する反応を触媒する酵素で,その作用の最適pHによって,アルカリ性と酸性の両者に区別されている。医学的に日常しばしば用いられているアルカリ性ボスファターゼおよび酸性ホスファターゼは,それぞれホスホモノエステラーゼの別名であって,非特異性アルカリ性または酸性ホスファターゼと呼ぶのが望ましく,これらは共にオルトリン酸のモノエステルを加水分解し,リン酸とアルコールまたはフェノールとする反応を触媒する。この反応式は次のように表現される。
O=R-O—P—O-H+H2O→R・OH+H-O——OH0=P—O-H—OHR:有機性の基を表わす。
ボスホモノエステラーゼのほかに,広義のホスファターゼに含まれるものとしては,ジホスファターゼとトリホスファターぜがあり,酸性とアルカリ性とを区別して考えるときは,特異性アルカリ性ホスファターゼ(5ーヌクレオチダーゼ,アルドラーゼ,ATPアーゼ,チアミン・ピロホスファターゼ,無機物性ポリメタホスファターゼ,ブドウ糖−6—ホスファターゼなど)と特異性酸性ホスファターゼ(ホスホアミダーゼ,DNAアーゼなど)が酵素組織化学的に注目されている。ここでは,一般検査の利用範囲として重要と思われるホスホモノエステラーゼ(非特異性アルカリ性ならびに酸性ホスファターゼ)について述べることにする。
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