技術解説
病原性好塩細菌の検査技術について
柳沢 文徳
1
,
田中 香麿
1
,
近藤 黎子
1
1東京医科歯科大学柳沢研究室
pp.79-86
発行日 1961年2月15日
Published Date 1961/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905794
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滝川は昭和30年国立横浜病院におけるキウリ浅漬による食中毒より新しい食中毒菌を発見し,その菌種に対してPseudomonas enteritisなる名称を付した。このような菌種による食中毒が各地で発生し,また滝川は同病院の下痢患者から同様な菌株を分離した。この分離菌は糖分解能の態度を除くと,殆んど一致した形態,生物学性状であることから,滝川はこれらの菌群に対して病原性好塩細菌(pathogenic halophilic bacteria)なる言葉を用いている。この発見以来好塩性細菌が衛生細菌学の面で急ににぎやかになつてきたが,好塩性細菌の研究は欧米では古くより研究されており,病原性好塩細菌以外には急に問題視するほどのことはない。編集者より一般的なhalophilicbacteriaについてという注文であつたが,もう少し余裕をみて総括的に書きたいと考えておるので,今回は病原性好塩細菌の範囲にとどめる。
この病原性好塩細菌の疫学的,細菌学的或は中毒学的な研究はかなり進んできているが,今回は私共の教室で検討してきた本菌の分離培養基を中心に食中毒に際しての検査方法について簡単にふれてみたい。
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