私の検査室
国立立川病院
佐藤 乙一
1,2
,
荒垣 恒政
1
,
小俣 喜久子
2
1国立立川病院
2国立立川病院研究検査科
pp.123-127
発行日 1958年2月15日
Published Date 1958/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905442
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はじめに
私が今動務している病院は入院約170床,外来約370名という国立綜合病院の中級の下に属する病院である。しかも結核病棟と外来棟を除く一般病棟は大正7年に時の陸軍が鉄筋コンクリートで建築したものであるため,今まで本誌上でたびたび紹介されて来たような近代的大病院をお目にかけ,当院にはこんなすぐれた器械があり,こんなすぐれた検査を行つているという現状を御紹介することはでぎない。又それをする意志もない。しかし全国をおしなべてながめてみると,近代的大病院というのはほんの僅かであつて,殆どが当院若くは当院以下の病院であるというのが現実の姿であろうと思う。(この場合病院という言葉を使つているが,療養所の検査室も含めて考えている。)従つて私はその様な小さい施設で働く方々に当検査室の現状をそのまま紹介し,窮屈ではあつてもお互が工夫をこらしながら業務を遂行している有様と,組織化している体系の中で,特に"人の和"が保たれ,兎角耳にするような医師,薬剤師,看護婦対抜術者との対立というものが全くなく,お互に人格を尊重しあいながら協力しあつて本務を全うしている姿をお目にかけたいと思う。又"人の和"は設備とか器具等の問題とは異り,根本的な重要条件でもあるので,この点は大,中,小いずれの病院の方々にも或は御参考になる所が多いのではないかと考えられる。しかし,中にはまだまだ改善しなければならない点が決して少くない。そのような具体例もここに卒直に出して,然るべき皆様方の御指導と御批判,御叱正を得たいと考えている次第である。
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