原著
立川市内に発生した汚染井戸水に関する研究
上月 清逸
1
1国立立川病院
pp.266-268
発行日 1959年4月15日
Published Date 1959/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202128
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1.緒言
立川市内を中心に近接市町村にまでも浸潤し,かつては"燃える井戸水"の名をもつて騒がれた汚水,ガソリン臭井戸水については,さきに当院の佐藤等が長年に亘つて系統的に調査研究し,発表した1)〜4)。このうち第3報によれば,当時は米軍や調達庁の好意ある態度によつて,殆んど解決し,また,汚染原等の問題についても,すべて問題視することなく,学問的調査研究により,完全に解決した旨を報じていたが,その後日米両国間において汚染原の問題が再び提起され,昭和27年以来,4年間に亘つて深刻な討議が交されて来たようである。しかし佐藤等は時間的に機会をうることが出来なかつたため,研究継続を行うことができなかつたのであるが,たまたま余等は好機に恵まれ,中途から研究をうけつぎ,今日に至つたのである。
ここで,昭和27年以来,昨年に至る間日米両国間で交された政治折衝の過程にふれる意志はなく,又それが本論文の本旨ではないが,ちようど機会よく,本年3〜5月間に,汚染された井戸の所有者には,大部分の損害賠償の支払いが終了したときでもあり,ここにわれわれの小さな研究を総まとめにして報告できることを幸に感ずる次第である。
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