特集 造血器腫瘍
Ⅳ 検査の実際
4.悪性リンパ腫―1)診断のための検査
今井 裕
1
,
中村 栄男
2
Hiroshi IMAI
1
,
Shigeo NAKAMURA
2
1三重大学医学部病理学第2講座
2愛知県がんセンター病院遺伝子病理診断部
pp.1390-1400
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905247
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はじめに
悪性リンパ腫の病理診断に際して最も重要なことは,病変が腫瘍性か反応性かを鑑別することである.次いで,腫瘍とすればリンパ腫かあるいは非リンパ球系腫瘍か,さらにリンパ腫とすればその亜型はいずれに相当するかが常に問題となる.悪性リンパ腫診断のための検査とは,これらの判断に際して必要な一連の解析手段といえる.
一方,分子生物学手法を用いた解析により,腫瘍発生に関する知見は近年飛躍的に高まりつつある.悪性リンパ腫においても従来の病理組織像による診断のみならず,腫瘍細胞の起源や発生の分子機構を積極的に考慮した分類が提唱された.すなわち,2001年に発表されたWHO分類1)では,組織・細胞所見はもとより,免疫学的,分子生物学的な解析結果を積極的に取り入れ,これらを総合的に判断することが求められるようになった.このため悪性リンパ腫の診断における検査の重要性が増している2,3).
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