特集 造血器腫瘍
Ⅰ
造血のしくみ
松村 到
1
,
金倉 譲
1
Itaru MATSUMURA
1
,
Yuzuru KANAKURA
1
1大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学
pp.1194-1202
発行日 2002年10月30日
Published Date 2002/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905215
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はじめに
ヒトの生体内に存在する血液細胞は大きく3系統に分類される.酸素運搬を行う赤血球系細胞,感染防御の担い手である白血球系細胞,血液凝固にかかわる血小板を産生する巨核球系細胞である.これら3系統の血液細胞は形態的にも機能的にも全く異なった特徴を有するが,すべて造血幹細胞から産生される.成熟した血液細胞は最終的に末梢血中に流入してくるがその寿命は短く,ヒトの生体内では日々老朽化した血液細胞の破壊が行われている.この消費を補うために健常成人では赤血球が約2×1011個,白血球が約1×1011個,血小板が約2×1011個と膨大な数の血液細胞が日々産生され,造血の恒常性が維持されている.本稿では造血システムを構成する血液細胞について解説するとともに造血制御機構についても概説したい.
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