シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
早老症 2.Rothmund-Thomson症候群
北尾 紗織
1
,
古市 泰宏
1
Saori KITAO
1
,
Yasuhiro FURUICHI
1
1エイジーン研究所
キーワード:
早期老化症
,
RecQヘリカーゼ
,
染色体不安定性疾患
,
癌多発
Keyword:
早期老化症
,
RecQヘリカーゼ
,
染色体不安定性疾患
,
癌多発
pp.785-793
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904442
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はじめに
Rothmund-Thomson症候群(RTS)は,幼少期に皮膚の異常が現れ,発育不金,種々の早期老化症状,異所性発癌(特に骨肉腫)を伴う劣性遺伝性の疾患である.皮膚の症状は,紅斑,毛細血管拡張症,角化症を伴っており,Bloom症候群(BS)やFanconi貧血症の患者の皮膚症状によく似ている.近年,数例のRTS患者ではヒト第8染色体トリソミーなどの染色体異常が見られることから,染色体不安定性を伴うことが知られていたが,このほかには統一した診断基準が確立されていなかった.昨年,このRTSの原因遺伝子の1つが,RecQ4ヘリカーゼであることが明らかになり,遺伝子診断が可能となったため,広範な症状を含むRTSのうち,RecQ4遺伝子の変異によって発症する患者に統一した診断基準をもたらすものと思われる.
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