特集 臨床検査の新しい展開―環境保全への挑戦
Ⅱ.環境問題と疾病
4.大気汚染
3)排気ガスと閉塞性肺疾患
永井 厚志
1
Atsusi NAGAI
1
1東京女子医科大学第一内科
pp.1313-1318
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904224
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はじめに
気道や肺からなる呼吸器系は常に環境大気に曝露されており,大気中に含まれる傷害物質により構造や反応系の異常,破綻が生じるとさまざまな呼吸障害として現れる.
大気汚染物質が多くの人達の健康障害をもたらした事件として,古くは1930年のMuse-valley事件にはじまり,その後1952年に起きたLon-donスモッグによる多数の死者をみるまでに幾つかの出来事が相次いだ.これらの事件を契機として,石炭から石油産業への転換や第二次世界大戦後の自動車の普及に伴う排気ガスによる汚染大気に起因する健康障害が社会の関心を集めるようになった.大気汚染と閉塞性肺疾患のかかわりも,このような時代背景とともにクローズアップしてきた問題である.本稿では,現在問題が指摘されている自動車からの排気ガスと閉塞性肺疾患の関連性について概説する.
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