研究
笹子トンネル内の排気ガスについて
北 博正
1
,
前田 博
2
,
竹内 瑞弥
3
,
安部 六男
4
1東京医科歯科大学医学部衛生学教室
2東京医科歯科大学公衆衛生学教室
3東京医科歯科大学付属農村厚生医学研究施設
4山梨県大月保健所
pp.223-225
発行日 1968年5月15日
Published Date 1968/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203677
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緒論
自動車数の増加と道路整備の進展にともなって,近年わが国では大規模なトンネルの建設が盛んになってきた。なかでも山岳の多い地方では,道路整備や時間短縮による経済効果を得るために,長大なトンネルの建設が進んでいる。
1級国道20号線(甲州街道)にある笹子有料トンネル(日本道路公団)もこの一つである。かつては東京,大月方面から甲府,長野県へ通じるには,標高1,100mの笹子峠,17kmの坂道,悪路を自動車で1時間も要した。笹子トンネルの完成以来,これを6kmに短縮し,10分間で通過できるようになった。時間短縮,車輛損耗の軽減など,経済効果が大であるばかりでなく,乗員の疲労軽減の面からいってもその効果はひじょうに大きい。笹子トンネルは,トンネル部分3kmで,時速40kmで4分30秒しかかからない。昭和33年に完成し,その当時は1日の平均通過台数は500余台であったが,年々増加し(第1図),42年前半では1日平均7,500台におよんでいる。36年以降,交通量の増加は予想以上のものとなり,39年からは急激に増加してきたため,完成当初は換気装置もなかったが,40年になって1.8m平方の送気渠,風量40m3/sの送風機2台による換気装置を取りつけて換気を行なうようになった1)。しかし現在では,換気装置完成当時に比べ,通過台数もおよそ2倍近くに増加し,換気能力も不足となってきている。
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