トピックス
in situ RT-PCR法
渡辺 純
1
,
亀谷 徹
1
1北里大学医学部病理学教室
pp.482-485
発行日 1999年5月1日
Published Date 1999/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903781
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はじめに
細胞や組織におけるメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を見る方法としてノーザンブロット(Northernblot)法がある.この方法で検出できないような微量なmRNAに対しては逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reversed transcription-polymerase chain reaction;RT-PCR)法が用いられる.これは,まず逆転写酵素によりmRNAから相補的DNA(cDNA)を合成し,これを鋳型として耐熱性DNAポリメラーゼを用いたPCRを行い,標的分子を増幅することにより検出する方法である.これらの方法は感染症,腫瘍,遺伝性疾患などの検査に導入され,検査室レベルですでに実用化されつつある.
しかし,これらの方法では組織をすりつぶして核酸の抽出が行われるため,いろいろな成分が混じりあっている細胞や組織検体では,実際にどの細胞が目的のmRNAを発現しているのかを知ることはできない.そこで,細胞・組織の形態を保存したまま,切片上でmRNAの発現の局在を検出するin situハイブリダイゼーション(in situ hybridization;ISH)法が考案された.これは,切片上で核酸プローブを標的分子とハイブリダイゼーションさせることにより,目的のmRNAを検出する方法である1).
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