今月の主題 原発性免疫不全症
総説
原発性免疫不全症候群の分子遺伝学
高木 正稔
1,2
Masatoshi TAKAGI
1,2
1国立小児病院小児医療研究センターウイルス研究室
2順天堂大学医学部小児科
キーワード:
原発性免疫不全症
,
遺伝子
Keyword:
原発性免疫不全症
,
遺伝子
pp.380-387
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904040
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
近年分子生物学の進歩に伴い多くの原発性免疫不全症の責任遺伝子が明らかにされてきた.その責任遺伝子の解明は疾患において欠損している機能の原因の検索から遺伝子側へアプローチするする方法,先にある遺伝子が知られていてそれから推定される機能の欠損が免疫不全であった場合,臨床と基礎との2方向からのアプローチによってなされてきた.現在まで原発性免疫不全症の診断は末梢血におけるその数の異常および機能の異常に注目してなされてきた.しかし近年の多くの原発性免疫不全症の責任遺伝子の解明はその診断に多くの分子生物学的手法を取り入れ,実際の臨床においても遺伝子診断やそれに基づく遺伝相談が行われている.またADA欠損によるSCID (重症複合免疫不全症)では遺伝子治療も行われ良好な成績を上げており,これからの原発性免疫不全症の診断,治療においては分子生物学的な病態の理解が重要となってくる.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.