コーヒーブレイク
所詮こどもは旅人なり
寺田 秀夫
1,2
1聖路加国際病院内科
2昭和大学内科
pp.308
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903677
- 有料閲覧
- 文献概要
11月中旬から,しきりに喪中を知らせる葉書を戴く.毎年20通くらいに達するが,自分の年齢になると増えるのは仕方がない.しかしここ2~3年大学の同窓生が亡くなられたという奥様からのお知らせも年々増えて,とても淋しい気持ちにかられる.事実今年も親友の葬儀で友人代表として弔辞を2回述べさせて戴いた.お2人とも開業医として地域医療に尽くされた方々で,惜しまれてならない.
しかし人間はいつかは必ず死が訪れるわけであるが,せめても肉親たちの暖かい眼差しに囲まれて昇天したいものである.自分のように大学や大きな病院に長い間勤務してくると,入院患者のいろいろな死に遭遇する.いつかNHKのテレビで有名な料理の先生である老婦人の話の中で,"所詮こどもは旅人なり"ということを語られた.そのときは少し淋し過ぎる思いであったが数年前のある女性の死はまさにこの言葉を思わせるもので,主治医であった自分には今も忘れられない辛い思い出となっている.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.