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(1→3)-β-D-グルカン結合蛋白
田村 弘志
1
1生化学工業(株)東京研究
キーワード:
リムルステスト
,
(1→3)-β-D-グルカン
,
T-GBP
Keyword:
リムルステスト
,
(1→3)-β-D-グルカン
,
T-GBP
pp.1674-1675
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903575
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はじめに
カブトガニの血球(アメーバ細胞)抽出液を用いるリムルステストは,ウサギの発熱試験に代わるエンドトキシン〔グラム陰性菌細胞壁の構成成分でLPSとも呼ばれるリポ多糖(Et)〕の鋭敏な試験管内検出法として実用化され,注射薬や医療用具のEt汚染のチェックならびにグラム陰性菌感染症の早期血清診断に広く使用されている1,2).日本産カブトガニ(Tt)のアメーバ細胞には,エンドトキシンが引き金となって進行するセリンプロテアーゼ前駆体の一連のカスケード凝固反応系(C因子系)が存在する.その研究過程で,真菌類の細胞壁を構成する主要な多糖である(1→3)-β-D-グルカン(BG)がEt同様リムルス反応を活性化することが見いだされ,このセリンプロテアーゼ前駆体の一連のカスケード凝固反応系(G因子系)を応用した真菌感染症の血清診断法が大林らにより確立された2~4).それを用いたファンギテックGテストならびにGテストMK (生化学工業)が,深在性真菌症の早期診断や抗真菌剤の治療効果の判定に有用であることが示され,検査薬として広く用いられている5).
最近,われわれは,Ttのアメーバ細胞抽出液中に,BGと特異的に結合することによりG因子の活性化を抑えるBG結合蛋白(T-GBP)の存在を見いだした6).そこで今回は,T-GBPを用いたBG検出への応用について紹介したい.
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