特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅵ.神経心理
2.失語症の検査
大槻 美佳
1
,
相馬 芳明
1
Mika OTSUKI
1
,
Yoshiaki SOMA
1
1新潟大学脳研究所神経内科
pp.1562-1569
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903550
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はじめに
失語症の症状を的確に評価することは,病巣の局在診断に有用であるばかりではなく,病勢の推移や再発の兆候を鋭敏にとらえるという意味でも重要である.さらに患者の言語能力のうち,何に障害があるのかを明確にすることは,患者との間にどのようなコミュニケーション手段が可能であるのかを見いだし,リハビリを進めてゆくうえでも不可欠である.さらに病型から推測される機能予後の情報は患者および家族の個人的,社会的活動にとっても重要である.
近年の画像診断の普及とその進歩によって,失語症状とその責任病巣の対応に関する研究が進み,現在,臨床場面で役立つ情報がかなり蓄積されてきている1).このような新しい情報に基づく実践的な研究は,失語症の評価方法にも影響を与えてきた.本稿では,失語症とそれに関連した言語症状の基本的な考え方を踏まえ,臨床場面で実践的に役に立つ評価の要点を概説する.
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