特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅴ.神経病理
1.筋肉
5)筋疾患の電子顕微鏡検査
若山 吉弘
1
Yoshihiro WAKAYAMA
1
1昭和大学藤が丘病院内科
pp.1514-1518
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903539
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はじめに
筋疾患の大部分のものは骨格筋線維の形態的な変化を伴う.形態的変化は光学顕微鏡(以下光顕)レベルで検出可能であり,したがってほとんどの筋疾患が光顕レベルで診断可能である.しかし,このうちのいくつかの疾患は電子顕微鏡(以下電顕)レベルまで検討することが診断に有用である.以前筆者は,光顕で変化に乏しい骨格筋細胞を電顕で観察し変化をとらえたが,意味があるかどうかという相談を受けたことがある.このような場合には人工産物などを見ていたりする場合が多いので,その解釈には細心の注意が必要である.電顕は微細な領域を超高倍率で観察できる点が長所でもあり,初心者にとっては短所ともなる.例えば,山に入り個々の木は見えてきても,山全体の輪郭はむしろとらえにくいようなものであろう.また固定の人工産物として筋小胞体やミトコンドリアの膨化拡大なども見られやすいので注意を要する.本稿では,電顕標本を作製するに当たり留意すべき点を概説し,電顕的観察が補助診断法として有用ないくつかの疾患(表1)について実際の所見を供覧したい.
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