特集 神経系疾患と臨床検査
Ⅱ.免疫
ミニ情報
神経・筋の免疫組織化学/HAMと免疫学的検査
竪山 真規
1
,
藤原 一男
1
1東北大学医学部神経内科
pp.1356
発行日 1997年10月30日
Published Date 1997/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903497
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神経,筋疾患を診断するうえで生検組織での検討は重要であるが,とりわけ免疫性疾患においては,免疫組織化学が病態機序を知る手がかりとなってきた.炎症性筋疾患は免疫学的機序の関与が示唆されている疾患群で,筋組織に単核球の浸潤と筋細胞の壊死,再生を認める.臨床的に皮膚筋炎(DM),多発性筋炎(PM),封入体筋炎(IBM)に分けられる.免疫組織化学によるリンパ球サブセットの筋内膜,血管周囲,筋周膜での解析により,DMでは細胞浸潤は血管周囲中心で,この部位でCD 4+およびBリンパ球が多く,筋血管に免疫複合体などの沈着があることから,液性免疫による筋血管の障害が本態と考えられている.
一方,PM,IBMでは細胞浸潤は筋内膜中心で,この部位でCD 8+リンパ球の比率が高く,MHCクラス1抗原,ICAM-1陽性の非壊死筋線維にLFA-1陽性CD 8+リンパ球が侵入している像が観察されることから,抗原特異的な細胞障害性Tリンパ球による筋細胞障害が推測されている.侵入リンパ球はHLA-DR抗原陽性で活性化されており,細胞障害性を有するパーフォリン,グランザイムAの発現もあることが,この仮説を裏付けている.近年サイトカインの関与が免疫組織化学的に検討され,PM筋でTNFの発現が増加している報告などがある1,2).しかし,サイトカインは組織学的に不安定な性質のため,今後はin situでのmRNAの検出が知見を増すと期待される.
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