特集 血栓症と血小板凝固線溶系検査
血栓症の検査
3.線溶系の検査
8) Bβフラグメント
山角 健介
1
,
愛甲 孝
1
Kensuke YAMAZUMI
1
,
Takashi AIKO
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.170-171
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903116
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検査の概説および測定の意義
フィブリノゲン(Fbg)は肝で生合成,分泌され,血漿中に200~400mg/dl存在する分子量約34万の糖蛋白質で,構造的には3種類のポリペプチド鎖Aα,Bβ,γがジスルフィド(S-S)結合して作られる化学的二量体(AαBβ-γ)2として存在する.機能的にはFbg→フィブリン(Fbn)転換により生理的・病的血栓や創傷治癒局所でのFbnマトリックスの主たる基材として重要な役割を演じる.
図1に示すように,生体内で凝固系が活性化され,生じたトロンビンによりFbgのAα鎖16-17位のアルギニン(Arg)-グリシン(Gly)ペプチド結合が限定分解される.その結果,Aα鎖アミノ基末端より2個のフィブリノペプチドA (FPA)が切断・放出され,Fbgはdes AA Fbnに転じ,2本鎖Fbn原線維の形成が始まる.その後トロンビンはさらにBβ鎖14-15位のArg-Gly結合も限定分解し,フィブリノペプチドB(FPBβ1-14)が放出されdes AA Fbnはdes AABBFbnに転じ,2本鎖Fbn原線維からFbn線維束・Fbn網が形成されていく.また,トロンビンは同時に凝固第ⅩⅢ因子を活性化し,Fbn分子間においてイソペプチド結合による堅い橋渡しをかけることになる.この架橋結合によりFbnは物理的・化学的に安定した形のものとなる.
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