今月の主題 心筋梗塞の生化学的マーカー
巻頭言
心筋梗塞診断のための血液化学的検査の変遷
河合 忠
1
Tadashi KAWAI
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.503-504
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902902
- 有料閲覧
- 文献概要
食生活の欧米化,車社会での運動不足,環境汚染の悪化,喫煙習慣の若年化,ストレス社会,など多くの要因が重なり,虚血性心疾患が激増してきた.しかも,表向き"快適な近代文明生活"を享受している間に,虚血性心疾患が徐々に忍び寄るから,ついついその予防を忘れがちとなる.そして,ある日突然心筋梗塞で倒れる.
虚血性心疾患には,狭心症と心筋梗塞がある.これらの疾患は,冠動脈の狭窄または閉塞によって心筋への血流がとだえて,心筋虚血状態に原因する.狭心症では可逆的な心筋障害にとどまるが,心筋の一部壊死まで進むと心筋梗塞である.両者は根本的に治療法が異なるので,早期に鑑別しなければならない.そのためには,心筋壊死の存在と程度を知ることと,心機能の障害度を知る必要があり,心電図および生化学的検査が行われる.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.