特集 免疫組織・細胞化学検査
基礎と技術
9.特殊技術・応用
4)共焦点顕微鏡
村田 晋一
1
,
寺内 邦彦
1
,
浦田 洋二
1
,
芦原 司
1
Shin-ichi MURATA
1
,
Kunihiko TERAUCHI
1
,
Yoji URATA
1
,
Tsukasa ASHIHARA
1
1京都府立医科大学第1病理学教室
pp.79-83
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902674
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はじめに
今日の組織細胞化学や免疫組織化学の発達は,細胞内でのDNAやRNA,あるいはさまざまな蛋白などの生理活性物質を特異的に染色することを可能にしている.細胞の増殖・機能の研究で,この特異的染色像に基づく生理活性物質の局在や細胞の微細構造の解析は,ますます重要性を増している.その際,生きているときにできるだけ近い形態を保った細胞・組織の染色像を,高解像度で,また,2次元的のみならず3次元的に捉えることが必要である.しかし,従来の標本作製法や光学顕微鏡技術では,像のボケの原因である非焦点面からの像を取り除くことや,薄切することなしに標本の3次元構造を観察することは困難であった.
焦点面の像に重なったボケを除去し,高解像度の光学的断層像(または光学的切片像)を捉える手法の1つが,共焦点顕微鏡である.今日の共焦点顕微鏡は,ずっと以前の1957年にMinsky1)が原理を示し,近年の応用光学,電子技術,コンピュータなどの発達により,光学理論値にほぼ等しい高解像度を生み出す新しい型の光学顕微鏡として実用段階に入ってきたものである.本稿では,最も広く用いられている落射型共焦点レーザ顕微鏡を中心に,その原理,特性および応用について述べる.
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