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技師の技術研修
黒川 和男
1
1大阪警察病院病理技術科
pp.29
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902655
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近年の病理技術の進歩には目覚ましいものがある.約100年前から行われているパラフィン包埋,HE染色,光学顕微鏡で観察といった形態学から大きく変わりつつある.組織切片上での免疫染色を機にin situ hybridization,PCR,フローサイトメトリー(FCM),電子顕微鏡などの所見が病理診断には不可欠なものになっている.なかでも免疫染色は特別の検体処理が必要でなくパラフィン包埋切片から染色でき,高価な設備や場所もいらず,小さな検査室でもすぐに実施できるため,広く行われている.
当科でも以前から免疫染色を日常検査に取り入れているが,ますますその重要度が増してきている.当科で免疫染色を本格的に始めたのは8年前の病理医着任以後である.それまではキットを中心に2,3の項目に限って行っていた.当時は保険点数,抗体の種類や質,価格,病理医のオーダーなどの諸条件より,実施件数はわずかだった.現在は一次抗体100種類を凍結保存し,年間730件の染色を行っている.技師の研修には免疫染色担当技師を当て,各種学会,講習会,研修会などに参加し,技術研修を行った.そして抗体についての解説書,コントロールスライド,染色マニュアルの作成を行い,その後全員が技術習得できるように短期間でローテーションを実施した.その成果は病理科内での勉強会,学会発表,論文発表などで行い,科内の勉強会は免疫染色を含め,週3回全員持ち回りで行っている.
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