今月の主題 内科医のための癌治療のオリエンテーション
癌発生と転移のメカニズム
オンコジーンと発癌
丹羽 太貫
1
1広島大学原爆放射能医学研究所・病理学研究部門
pp.190-191
発行日 1989年2月10日
Published Date 1989/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222299
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癌は器官形成が完了した後の個体における,細胞の異常増殖による腫瘤形成と転移を伴った病である.癌が遺伝子突然変異で起こることは,すでに1930年代に提唱されていた.しかしながら,癌化と突然変異の関係が実験的に確かめられたのはようやく1970年代になってからである.しかしその後の進歩は早く,癌化に関与した遺伝子が同定されだしたのは1980年前後である.癌化に直接関与すると考えられている遺伝子はオンコジーン(以下oncと略)と呼ばれる.oncは癌のみならず正常細胞の増殖と分化の本質に深くかかわっている.ここではoncの正常細胞と癌細胞での機能を概説する.
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