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マスト細胞欠損マウス
大田 健
1
1帝京大学第二内科
キーワード:
マスト細胞
,
形質発現機構
,
疾患モデル
Keyword:
マスト細胞
,
形質発現機構
,
疾患モデル
pp.242-243
発行日 1994年2月15日
Published Date 1994/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901880
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1.はじめに
マスト細胞は,19世紀後半にEhrlichにより発見された細胞で,その細胞質は好塩基性の顆粒に富んでいる.マスト細胞が注目されるようになったのは,1966年石坂らにより免疫グロブリンE (IgE)が発見されてからである.すなわちマスト細胞は,表面に受容体を介して存在するIgE抗体が対応する抗原と結合すると種々の化学伝達物質を遊離し,即時型アレルギー反応を惹起するのである1).
さらにマスト細胞は,IgEを介したアレルギー反応だけでなく,非特異的な刺激によっても化学伝達物質を遊離し,炎症反応にも関与することが明らかとなった.そして,最近ではマスト細胞がインターロイキン3(IL-3)をはじめとする複数のサイトカインを産生遊離することも報告され,その機能は多岐にわたることが予想されている2).マスト細胞の生体内における起源,分化,役割を明らかにするうえで,マスト細胞欠損マウスは,きわめて有用であり,多くの情報を提供してきた3).
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