特集 遺伝と臨床検査
III 染色体異常の診断
2.末梢血の各種染色体分染法
8)DNA複製パターン
成富 研二
1
Kenji NARITOMI
1
1琉球大学医学部小児科
pp.165-168
発行日 1992年10月30日
Published Date 1992/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901300
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細胞周期のS期(DNA合成期)の中~後期に相当する時期にプロモデオキシウリジン(bromodeoxyuridine;BrdU)を培養液に添加すると,S期の前半に複製した部分はRバンドとして,後半に複製した部分はR陰性バンドとして染め分けられる.X染色体のDNA複製に限って言えば,活性を持つ早期複製X染色体はX染色体全体にわたってRバンドを示すのに対し,不活性化された後期複製X染色体は,ごく一部にRバンドを示すか,あるいはまったく示さない.すなわち,X染色体の活性化状態を知ることが可能である.また,この方法で,熱処理によるR分染法(RHG法)よりはるかに解像度のよいRバンドが得られるため,常染色体のR分染法にも応用できる(RBG法,RBA法).さらに,BrdUとエチジウムブロマイド(ethidium bromide)を組み合わせることにより,同調培養をしなくても高精度R分染像を得ることができる.
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