特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
3.自己免疫疾患と検査
17)多発性硬化症
荒賀 茂
1
,
高橋 和郎
1
Shigeru ARAGA
1
,
Kazuroh TAKAHASHI
1
1鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設脳神経内科
pp.313-315
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900891
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はじめに
神経線維は軸索と髄鞘からなり,この髄鞘の破壊されることを脱髄(demyelination)と呼ぶ.脱髄性疾患はこの髄鞘が巣状に侵される疾患で,軸索や神経細胞は比較的保たれる.脱髄性疾患の代表は多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)である.わが国での頻度は10万人に対して2~4人で,欧米に比べてその頻度は少ない.発症は20~40歳代に多いが,小児や高齢者での報告もある.多発性硬化症の病変は,中枢神経系のすべてに起こりうる.形成された脱髄巣は,時間の経過とともに修復され,また経過とともに再発する.したがって症状は多彩であり,寛解増悪をくり返す.
髄鞘の構成蛋白であるmyelin basic protein(MBP)を動物に感作することにより,脱髄モデル(experimental allergic encephalomyelitis;EAE)を作製することが可能となった,脱髄モデルでは,T細胞のうちヘルパーT細胞(CD4)がエフェクターであることが確認されている.
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