特集 アレルギーと自己免疫
I.免疫機能―最近の進歩
3.免疫担当細胞の分化
1)B細胞の分化と表面抗原
王 継揚
1
,
渡邊 武
1
Jiyang WANG
1
,
Takeshi WATANABE
1
1九州大学生体防御医学研究所感染防御部門
pp.30-34
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900790
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はじめに
B細胞が骨髄幹細胞から分化する際,決まった順序で免疫グロブリン(Ig)遺伝子の再構成が生じる.すなわち,まずH鎖のDとJの再構成が起こり,続いてH鎖のVからDJへの再構成が生じて,プレB細胞となる.さらに,L鎖のVとJの再構成が生じ,細胞表面にIgMを発現するB細胞となる.この後,抗原刺激などによって,活性化され,最終的に抗体を分泌するプラズマ細胞へ分化する(図14).
したがって,B細胞の分化過程はIg遺伝子の再構成の過程でもある.限りあるV,D,J遺伝子から,再構成を通じて膨大な種類の抗体を産生し,多種多様な抗原に対応することができるようになる.未熟なB細胞の分化は,種々のサイトカインによる刺激や骨髄ストローマ細胞との相互作用によって調節され,機能的な再構成が生じた細胞のみが選択され,成熟する.また,1つのB細胞が一種類の抗体だけを産生するように,Ig遺伝子の2つの対立遺伝子のうち1つだけが発現するように,いわゆるallelic exclusionが起こる.
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