腎臓病の病理・6
糸球体疾患(Ⅳ)
坂口 弘
1
,
緒方 謙太郎
1
Hiroshi SAKAGUCHI
1
,
Kentaro OGATA
1
1慶應義塾大学医学部病理学教室
キーワード:
補体
,
膜性増殖性腎炎
,
Alport's syndrome
,
Thin GBM disease
,
先天性ネフローゼ症候群
Keyword:
補体
,
膜性増殖性腎炎
,
Alport's syndrome
,
Thin GBM disease
,
先天性ネフローゼ症候群
pp.731-739
発行日 1990年6月15日
Published Date 1990/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900185
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糸球体腎炎発症に際して補体系の関与する役割は大きい.補体の活性化には,抗原抗体複合体によって活性化が引き起こされる古典的経路と,免疫複合体とは関係なく活性化される第二経路があり,膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)のType 1は前者,Type 2は後者による補体の活性化がそれぞれの病因において重要な役割を演ずるとされる.MPGNは病理形態学的に,糸球体の細胞増殖性変化と,係蹄壁の肥厚の両者を呈するが,Type 2は特にその電子顕微鏡的特徴から,Dense deposit diseaseともよばれる.ところで,乳幼児期の腎疾患としては,これまで述べてきた原発性腎炎以外にも,遺伝性糸球体疾患があげられ,その診断に際しては,慎重でなければならない.
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