今月の主題 結核菌と非定型抗酸菌をめぐって
話題
―抗酸菌の迅速同定―α抗原について
田坂 博信
1
Hiromichi TASAKA
1
1広島大学医学部細菌学教室
キーワード:
抗酸菌のα抗原
,
血清学的同定法
,
ゲル内沈降反応
Keyword:
抗酸菌のα抗原
,
血清学的同定法
,
ゲル内沈降反応
pp.435-437
発行日 1990年4月15日
Published Date 1990/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900106
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α抗原は遅育抗酸菌に広く分布する分子量約30000ダルトンの相同蛋白質である.相同蛋白質のアミノ酸配列は各蛋白質に共通な部分と進化の過程で変異した部分とによって構成されている.α抗原の場合には変異の程度がspeciesまたはcomplexとよく相関しているので,変異したアミノ酸配列の部分の抗原決定基を血清学的に検出することによって菌株の同定を,確実に,簡単にしかも迅速に行うことができる.
今までに明らかにされた特異性はM. kansasii,M. marinum,M. scrofulaceum,M. gordonae,M. szulgaiおよびM. malmoenseでは,speciesspecificであり,M. avium complex(M. avium-M. intracellulare)およびM. tuberculosis complex(M. tuberculosis-M. bovis-M. microti)においてはcomplex specificである.
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