TOPICS
不安定HbA1C
中島 弘二
1
1聖路加看護大学
キーワード:
血糖コントロール
,
不安定HbA1C
Keyword:
血糖コントロール
,
不安定HbA1C
pp.216-217
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900053
- 有料閲覧
- 文献概要
糖尿病の血糖コントロールの指標として広く使用されているグリコヘモグロビン(HbA1C)は2段階の非酵素的反応により形成される.グルコースはまずヘモグロビンAのβ鎖のN末端のバリンとシッフ結合し不安定HbA1Cとなるが,これは可逆的反応で,さらにアマドリ転移して不可逆的な安定HbA1CとなるものとグルコースとヘモグロビンAとに分解するものとがある.不安定成分は採血時の血糖値により変動し,さらに採血後時間とともに低下する.そのため過去の血糖値の指標としては不安定成分を除いて安定HbA1Cのみ測定することが望ましい.
安定HbA1Cのみを測定する方法として,エレクトロフォーカシング法,比色法,アフィニティークロマトグラフ法などが報告されているが,現在もっとも広く使用されているHPLCに比べ検体処理能力,安定性など問題がある.HPLC法においては不安定成分のピークは安定成分のピークの前に出現するためピークを区別して測定することができる.しかしそのために長時間(12分以上)かけてクロマトをしなければならず,カラムの能力をつねに最高に保たねばならない.不安定成分をカラムにかける前に除く前処理をしてHPLC法で短時間(4分以内)に分析する方法が現時点では実用的であろう.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.