事例から学ぶ 検査室の経営管理に必要な知識・4
検査実績課金方式(課金方式)における収支報告書の作成—課金方式の内訳と計算の仕方など簡単な計算方法についての解説
本間 裕一
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1横浜市医療局病院経営本部脳卒中・神経脊椎センター検査部
pp.1009-1013
発行日 2024年8月15日
Published Date 2024/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203701
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はじめに
前号(68巻7号)で,収支報告書作成の意義と必要なデータ収集および作成についてお話しましたが,今回は,検査室の運営形態における検査実績課金方式(以下,課金方式)について簡単な仕組みと,計算方法について解説します.そもそも課金方式とは簡単にいうと,検査1項目にかかるその他の費用を全て盛り込んで,精算する方式です.詳しく説明すると,検査実績と連動したコスト契約で,企業連合方式ともいわれています.FMS(facility management system)と同様に人以外の機器,試薬を外部に任せる院内受託方式ですが,それ以外にも機器の保守管理など,検査にかかわる全ての費用(人件費以外)を受託業者がもち,これらに対する対価を検査項目当たりの単価で契約し,その有効実績数〔病院情報システム(hospital information system:HIS)より算出された件数〕に応じて毎月の請求額を算出する方式です(図1).課金方式のメリット・デメリットについては以下の通りとなります.
メリット
・初期投資0円(全部業者が負担してくれます)
・支払いが明瞭(検査オーダーによる項目積み上げ方式による支払いにより,事務的煩雑さの軽減)
・機器・試薬の選定度が高い
・検体管理加算ⅢまたはⅣの取得可能
デメリット
・検体数の増減による収益の影響を受けやすい(検体数の増加は,収益減)
・試薬,消耗品,機器などの価格が不明瞭
・コスト意識の低下
・契約期間の縛り
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