検査ファイル
ベセスダ方式
高橋 正宜
1
1エスアールエル細胞病理研究所
pp.640
発行日 1995年7月1日
Published Date 1995/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902449
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[1]婦人科細胞診ベセスダ方式の背景
米国の国立癌研究所(Bethesda)では子宮頸部・腟部細胞診の報告にパパニコロウ分類に代わる新しい報告様式が1988年以来検討された.1991年4月の第2回ワークショップにおいてKurman, Solomonらの委員会は新しいベセスダ方式を正式に報じている.
細胞診の報告にはパパニコロウ分類が用いられて30年以上を経てきたが,米国において一挙にその報告方式に改変の起きた背景にはSunday TimesやWall Street Journalに報道されたような社会的告発があったからである.細胞診が近年の子宮癌死亡率の減少の一役を担ったのであるが,ずさんな検査によって多くの偽陰性と偽陽性のもたらした事例を報じたのである.1つには過大判定による婦人の心理的負担と不必要な過剰治療,他方には偽陰性の結果,適切な治療の手遅れによる死亡例を具体的に記録している.真偽は定かでないが偽陰性が20%を上回るという報告には驚かされる.偽陰性はスクリーニングの見落としと細胞採取の不備によるものである.新しいベセスダ方式はそこに重要なねらいを置いている.
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