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はじめに
前号(68巻6号)で,検体検査部門の運営形態について,直営,ブランチラボ,院内受託方式(facility management system:FMS),検査実績課金方式(課金方式)などの特徴についてお話をいたしましたが,検査部門の評価方法の1つとして,自施設における収支が挙げられます.以前は病院の収益部門として,検査数に応じ検査室の収益は上がり,病院経営の増収に貢献していましたが,1981年4月の保険点数改正以降,臨床検査の包括化(いわゆるマルメ)が行われました.医療関連ビジネスの台頭もこの頃から始まったこともあり,医療アウトソーシングが津波のように押し寄せ,病院の経営者からは,なくてはならない収益部門から委託も検討できる部門へと,検査室の立ち位置が大きく変わっていきました.また,過去の経験から,検査室では検査数による収益により検査部門の評価を主に行っていましたが,昨今では,病院の診断群分類(diagnosis-procedure combination:DPC)導入が始まり,検査部門単体での収益がわかりにくい状況にあります.そこで,今回は,検査部門を適切に評価する1例として収支分析表の作成方法についてお話をしたいと思います.
検査部門の収支分析において,現在,検査室が設置されている多くの病院では,電子カルテの導入が行われており,医事会計システムから項目コードと名称で,それぞれの保険点数がわかるようになっています.それを月単位または,年単位で集計を行うことが可能です.また,支出に関しては,給与管理システムや調度契約(物品管理)システムなどを用いて集計を行うことができます.ぜひ,各病院の検査室で収支報告書の作成をしてみてください.また,でき上がった報告書は今後の医療DX(digital transformation)などに備え,検査室のあり方を検討するうえで大切な資料になると思われます.
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