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今月の特集1 子宮頸がんをめぐって
子宮頸がん検診の現状と問題点—がん撲滅を目指した検診方法
The current status and problems of cervical cancer screening to eliminate
岩成 治
1
1島根県立中央病院産婦人科
キーワード:
子宮頸がん検診
,
ヒトパピローマウイルス検査
,
HPV検査
,
細胞診
,
前がん病変有病率
,
がん罹患率
Keyword:
子宮頸がん検診
,
ヒトパピローマウイルス検査
,
HPV検査
,
細胞診
,
前がん病変有病率
,
がん罹患率
pp.196-203
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203242
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Point
●世界保健機関(WHO)は子宮頸がん撲滅の定義をがん罹患率4未満と定め,2030年までの介入目標値を①ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種率90%,②検診受診率70%,③前がん病変治療率90%とした.
●欧・米・豪の各国はすでに前がん病変有病率0.4%・がん罹患率6に減少して撲滅寸前であるが,わが国は前がん病変有病率2%・がん罹患率15で,いまだに増加し続けている.
●高罹患率の原因には,がん教育の遅れなどによる低若年受診率,検診登録・地域がん登録の不備による検診改善の遅れ,HPVワクチン接種の遅れ,HPV検査併用検診導入の遅れなどがある.
●検診受診率80%におけるがん罹患率減少効果:①細胞診単独検診はがん罹患率10まで減少可能,②HPV単独検診はがん罹患率8.4まで減少可能,③HPV・細胞診併用検診はがん罹患率5.2まで可能.実際,島根県出雲市のHPV併用検診において,若年受診率75%でがん罹患率は6に減少した.
●今後10年間はワクチン効果が望めないので,効率的で高精度のHPV併用検診を実施すべきである.ワクチン接種率70%以上・若年受診率70%以上の先進国のように前がん病変有病率が0.4%以下になれば,HPV単独検診,さらには自己採取HPV検診への移行が可能と思われる.
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