増大号 検査血液学レッスン 検査結果の乖離をどう判断するか
はじめに
涌井 昌俊
1
,
田部 陽子
2
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
2順天堂大学医学部臨床検査医学講座
pp.1091
発行日 2022年10月15日
Published Date 2022/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542203106
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血液学領域の検査結果は診断の確定や治療の選択,効果評価にしばしば直結する.そのため,検査の乖離の判断と解決は検査実地のみならず臨床実地にとって極めて重要である.しかし,血球形態検査のように単純な定量値として扱えないものや,フローサイトメトリー検査や凝固関連検査のように標準化・精度管理が難しいものが含まれるため,化学・免疫検査と比べると系統的に乖離を取りまとめて論じるのは容易ではない.
そこで,個々の検査の特性を理解し,なぜ,どのようなメカニズムで乖離が生じるのかを知ることが重要となる,血液検査は採血前からすでに始まっている.最初の一歩は,検査前プロセスが検査値に与える影響を理解することである.自動化が進んだ血算値の結果の乖離については,その原因とメカニズムを理論的に知っておくことが重要である.血球を直接観察する血球形態検査は血液検査の醍醐味であるが,標本の作製方法や細胞識別の標準化が困難という特性からさまざまな乖離が生じる.フローサイトメトリー検査は血液疾患や免疫疾患の診断のほか,移植治療でも必須の検査となっているが,検査そのものの仕組みと特性を知ることによって,検査値の乖離に遭遇した際に適切に判断し,対応することが可能になる.
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