今月の特集 典型例の臨床検査を学ぶ
閉塞性黄疸
多田 大和
1
1自治医科大学附属病院臨床検査医学
キーワード:
ビリルビン
,
AST
,
ALT
,
ALP
,
CA19-9
Keyword:
ビリルビン
,
AST
,
ALT
,
ALP
,
CA19-9
pp.628-632
発行日 2021年6月15日
Published Date 2021/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202740
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初診(診察)時症状・所見
患者は60歳代,女性.既往歴・家族歴に特記すべきことなし.飲酒歴はなく,内服薬やアレルギーもなかった.1週間前から全身倦怠感が続いており,2日前に腹部の黄染と灰白色便が出現した.症状が改善しないため近医を受診すると,黄疸があるからすぐに大きな病院へ行くようにいわれ,自治医科大学附属病院を紹介された.患者は,いわれてみれば尿が濃いような気がしていた.受診まで発熱や腹痛はなかった.
診察では眼球結膜および顔面に黄染を認めた.腹部に圧痛はなく腫瘤も触れないが,瘙痒感があるようで,ひっかき傷を多数認めた.灰白色便と無痛性黄疸ということで,まずは癌による閉塞性黄疸を疑った.血液検査をオーダーし,結果が出るまでの間に腹部超音波検査を行うと肝内外胆管の拡張を確認できた.
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