増刊号 これで万全!緊急を要するエコー所見
6章 小児エコー
腸重積
岡村 隆徳
1
1聖マリアンナ医科大学病院超音波センター
pp.506-510
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202348
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
疾患の概要
口側腸管が肛門側腸管内に引き込まれ腸管が重なり合った状態を腸重積と呼び,腸重積によって引き起こされる腸閉塞症を腸重積症という1).消化管ポリープ,Meckel憩室,重複腸管,感染性腸炎,血管性紫斑病,悪性リンパ腫などの器質的疾患は腸重積の発症原因となることがあり,腸重積の原因となるこの器質的疾患を病的先進部という1).腸重積は病的先進部が原因になっているものと,病的先進部が存在しない特発性腸重積に分類される.また,腸重積の発症部位として小腸-小腸型,小腸-結腸型,結腸-結腸型に分けられる.腸重積の多くが3歳までにみられる特発性腸重積であり,その場合はほとんどが小腸-結腸型の腸重積である.4歳以降の腸重積では病的先進部を伴っている可能性が高く,消化管のどの領域でも発症する可能性がある.
男女比は2:1で男児に多い1,2).腸重積の3大主徴は腹痛(または啼泣・不機嫌),血便,腹部腫瘤触知であり,消化管通過障害に伴い嘔吐を認める例もある.腸重積では腸管とともに腸間膜や腸間膜動静脈も引き込まれるため循環障害に伴う絞扼性変化をきたすことがあり,進行例では腸管虚血,壊死,穿孔によりショック状態を呈することもある.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.