今月の特集2 現代の非結核性抗酸菌症
扉
関谷 紀貴
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1がん・感染症センター都立駒込病院感染制御科・臨床検査科
pp.1029
発行日 2019年9月15日
Published Date 2019/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202129
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わが国における結核罹患率は低下している一方,近年は非結核性抗酸菌症の増加が公衆衛生上の課題として認識されています.全ての医療機関・診療科に受診する可能性があり,完全な治癒が見込めない症例も少なくないことから,今後は経時的な有病率の上昇が見込まれます.また,100種類以上にのぼる菌種,免疫不全患者における多彩な臨床像など,単一疾患として捉えることが難しい点にも留意が必要です.
今回の特集は,非結核性抗酸菌症の疫学,診断,問題となる主な疾患に対する理解と知識のアップデートを目的としています.
疫学,分離培養・同定/遺伝子検査・薬剤感受性試験に関する稿は,非結核性抗酸菌症の国内外における現状把握に加えて,臨床検査技師として留意すべき実務上の注意点を整理していただくうえで大変有用です.また,広く知られている呼吸器感染症に加えて,皮膚・軟部組織感染症,血流感染症,HIV感染者における特徴の解説では,多様な菌種と患者背景が生み出す疾病スペクトラムに注目してご覧いただければ幸いです.非結核性抗酸菌症を有する患者の検査実施に際し,臨床現場との効果的なコミュニケーションを行う一助となることを願っております.
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