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増刊号 検査項目と異常値からみた—緊急・重要疾患レッドページ
6章 腎疾患
急性腎障害
Acute kidney injury(AKI)
佐藤 陽隆
1
,
岡本 岳史
1
1聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科
pp.479-481
発行日 2019年4月15日
Published Date 2019/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201974
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急性腎障害(AKI)とは,何らかの原因に伴い急激な腎機能障害が生じて,腎臓が担う体液・ミネラル・酸塩基平衡などの維持・調節機構が損なわれる状態を指す.近年,患者の高齢化や糖尿病や高血圧症などのさまざまな基礎疾患の併存,慢性腎不全の増加,多様化・進歩する薬剤や各種治療などにより,日常診療で遭遇する頻度は高まっている.
AKIはかつて“一時的”で,“可逆的”な腎機能障害と考えられていたが,AKIの長期的な予後は想定されていたものよりも悪く,AKIから慢性腎臓病(CKD)に進行して末期腎不全に至る確率が高いことが示されるようになったため,AKIの早期発見・早期治療介入の重要性が増した.診断には2012年のKDIGO(Kidney Disease Improving Global Outcome)によるClinical practice for Acute Kidney Injuryで発表された診断基準を用いて,血清クレアチニン(Cr)もしくは尿量により,診断および重症度の判定を行う(表1)1).その後,障害部位を想定した分類で腎前性・腎性・腎後性に分類し,詳細な病歴聴取と身体診察,各検査から総合的にその原因を判断し治療する.
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