増刊号 疾患・病態を理解する—尿沈渣レファレンスブック
序文
下澤 達雄
1
,
宿谷 賢一
2
1国際医療福祉大学医学部臨床検査医学講座
2東京大学医学部附属病院検査部
pp.357
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201545
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医療費の抑制策また高年齢化が進む現在の医療環境は,簡便・迅速・低コストかつ患者に対して非侵襲的である尿検査を有効活用する意義は大きくなっています.特に尿沈渣検査は,腎・尿路系の疾患のスクリーニング検査として意義は高く,より多くの付加価値情報を臨床に提示できると考えています.
尿沈渣検査による典型的な尿路の腫瘍細胞の鑑別能力は,日本臨床衛生検査技師会主催の外部精度管理調査のフォトサーベイの報告から証明されており,国内の臨床検査機関の約3,000施設のうち,8割以上の施設で鑑別が可能です.今日の尿沈渣検査は,スクリーニング検査の目的以上の検査結果を臨床へ提供可能な施設もあり,尿沈渣検査の鑑別技術の向上が裏付けられていると言えます.しかしながら,臨床の場において腎・尿路系疾患の診断と治療における尿沈渣検査の意義付けが明確にされていない部分もあり,臨床との関連性を明確にする必要があります.
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