検査レポート作成指南・18
遺伝子・染色体検査編
松田 和之
1
1信州大学医学部附属病院臨床検査部
pp.194-205
発行日 2017年2月15日
Published Date 2017/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201112
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遺伝子・染色体検査は,疾患の診断,予後予測,治療効果の判断,再発評価など,あらゆる面で臨床に重要な情報を提供する検査である.遺伝子検査・染色体検査はどちらもお互いに補完しながら行うべきであり,適切な時期に適切な検査を実施することが必要である.一方,遺伝子・染色体検査は,実は,PCR法を基本とする遺伝子検査と細胞培養を基本とする染色体検査という,お互いに検査・報告までの時間軸が全く異なる検査である.迅速・高感度な検査とは遺伝子検査であるが,臨床医は全ての検査が迅速に返されるものと勘違いすることもある.また,依頼内容が遺伝子レベルでの検査なのか,染色体レベルでの検査なのか理解していないこともある.
つまり,遺伝子・染色体検査については,単に“検査結果”欄に陽性・陰性を記載するものではなく,用いている検査法の特徴や限界を踏まえて,検査結果のほかに付加的説明・情報を“測定者コメント”として記載することが大切である.臨床医へのきめ細かい報告書の作成こそが検査報告書を通した臨床医とのコミュニケーションになる.それが,検査結果のよりよい理解,そして適切な診断,治療につながると考えられる.
本稿では,自施設での実施項目をもとにして,検査レポートの作成において注意している点や必要と考える点について解説する.
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