増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus
ST上昇とT波増高
中島 真
1
,
太田 洋
1
1板橋中央総合病院循環器内科
pp.1198-1204
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200982
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Overview
急性前壁中隔心筋梗塞の心電図である(図1).V1〜V3誘導で上に凸なST上昇とV1〜V5誘導でT波の増高と,対側のⅡ,Ⅲ,aVF誘導において鏡像変化としてST低下を認める.
ST上昇やT波増高を示す最も緊急性の高い疾患は,本例のようなST上昇型急性心筋梗塞(ST elevation myocardial infarction:STEMI)である.STEMIを見逃さないように常に注意が必要である.異型狭心症は冠攣縮によって貫壁性の虚血を呈し,動脈硬化プラークの破綻によって起こるSTEMIと同様のST上昇と対側のST低下を認めることも多く,鑑別のためには問診やその他の画像診断が必要となる.心電図のみからの鑑別は困難な場合もある.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.