増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus
QRSの異常—J波・ε波
長野 徳子
1
,
髙橋 尚彦
1
1大分大学医学部循環器内科・臨床検査診断学講座
pp.1193-1197
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200981
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J波
Overview
J波とは?
QRS終末部あるいはST部分との接合部にみられる陽性のノッチ(notch),もしくはスラー(slur)の総称である.12誘導心電図の下壁誘導(Ⅱ,Ⅲ,aVF)および側壁誘導(Ⅰ,aVL,V4〜V6)において,2誘導以上で0.1mV以上のJ点上昇,もしくはJ波の存在を認め,かつ,これに起因すると考えられる心室細動(ventricular fibrillation:VF),心肺停止の既往がある場合にJ波(早期再分極)症候群(early repolarization syndrome:ERS)と診断する.図1は,45歳,男性の12誘導心電図である.Ⅱ,Ⅲ,aVF,V6にスラー,V5にノッチのJ波(→)を認め,VF,心肺停止の既往があり,ERSと診断できる.
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