増刊号 心電図が臨床につながる本。
Ⅱ章 波形からみた心電図[1] 心臓の器質的疾患Plus
PQ時間の異常
神田 茂孝
1
,
吉岡 公一郎
1
1東海大学医学部内科学系循環器内科
pp.1165-1172
発行日 2016年10月30日
Published Date 2016/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200977
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Overview
PQ時間とは心電図上P波からQRS群のQ波までの時間である.Q波を認めない場合などは(Ⅱ,Ⅲ,aVF誘導に多い)PR時間となるが,PQ時間と同義であると考えることとする.PQ時間は,洞房結節から出た電気的興奮が心房内を経て房室結節およびHis束内を通過し心室中隔上部の脚に相当する心室筋へ至るまでの時間である.その多くが房室結節内通過時間で占められているため,房室伝導時間とも呼ばれている.PQ時間の正常範囲は0.12〜0.2秒(心電図の細マスの3〜5マス)までであり(図1,2),その短縮でも延長でも異常とされる.PQ短縮はWPW(Wolf-Parkinson-White)症候群を代表とする早期興奮症候群や交感神経亢進状態などで認められる.PQ延長は1度房室ブロック(first-degree atrio-ventricular block)やWenckebach型2度房室ブロック(Wenckebach type second-degree atrio-ventricular block),また,副交感(迷走)神経亢進状態で認められる.
本稿では主にWPW症候群と1度房室ブロックについて解説する.
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