増刊号 ひとりでも困らない! 検査当直イエローページ
Ⅲ章 報告前に必要なチェック
〔生化学検査〕
ChE
刈米 和子
1
1公益財団法人東京都保健医療公社荏原病院
pp.1200-1204
発行日 2015年10月30日
Published Date 2015/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200574
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緊急性
血清アルブミン(albumin:Alb)の値が正常であるにもかかわらず,コリンエステラーゼ(cholinesterase:ChE)が35U/L以下を示すときは,患者が非常に危険な状態である可能性を表しているので,即刻,臨床への報告が必要である1,2).患者所見として低体温,めまい,目のかすみ,嘔吐,呼吸困難,意識障害,失禁などがみられるようなら,医師に対して何らかの中毒の可能性があることを伝える3).
対処に緊急を要する低ChE血症は,以前は農薬や,殺虫剤の過誤または故意の摂取による有機リン中毒によるものが多かったが,近年は高齢者の排尿障害や筋無力症などの治療薬である間接型コリン作動薬(可逆的ChE阻害剤)の過剰投与によるものもある.低ChE血症はこの間接型コリン作動薬の重篤な副作用“コリン作動性クリーゼ”の危険域を示す唯一の検査項目であるため,大変重要である〔表1〕1,4).代表的な間接型コリン作動薬を表2に示す.
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