今月の特集1 臨床検査の視点から科学する老化
扉
山内 一由
pp.723
発行日 2015年8月15日
Published Date 2015/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542200376
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自然界における現象はあまねくエントロピーが増大する方向へ進みます.エントロピーとは“乱雑さ”,“不可逆性”を表す物理量です.私たち人間も,この世に生を受けた瞬間から,エントロピーが増大する方向へと着実に進んでいきます.どんなに努力しても,皮膚にはしわが刻まれ,髪は抜け落ちます.そして最終的には生命活動を終えることになります.飛躍的に進歩し続ける科学の力をもってしても,この自然の摂理に逆らうことはできません.時間は絶対であり,加齢は不可避です.一方,老化の進行を遅らせること,つまりアンチエイジングは十分に可能です.社会のアンチエイジングに対する期待は絶大で,予防医学の観点からも注目されています.疾患の多くは,老化をその発症の一因としているからです.科学的根拠に基づいたアンチエイジングを実践していくためには,老化の進行程度を的確に捉えうるバイオマーカーの開発と,それを活用した臨床検査が不可欠です.そして何よりも,まずはその基盤となる老化の概念とメカニズムについて理解を深めることが肝要です.
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